2020年5月5日
酒井順子さんの「黒いマナー」で、井上ひさしが「エッセイとはすなわち自慢話である」と書いていたのを一読し、まさにその通りなので赤面したと書いてある。
「汽車旅の酒」の冒頭に出てくるのが「金沢」編。
「旅行をするときは、気がついてみたら汽車に乗っていたという風でありたいものである」
なーんて書いておきながら、その旅の同行者は河上徹太郎、それに辻留の三代目と観世榮夫。金沢の一流旅館で、一流料亭で、造り酒屋で、茶席で、お茶屋で、あるいは某邸宅で、コネと金と大家巨匠の名声がなければぜったいに賞味できない食べ物を稀有の茶器でいただくという旅。そのタネあかしを他ならぬ観世榮夫が巻末に書いている。
アホらし。
新幹線が開通すると、ほんとうに旅行したい人は東海道線に乗るのだろうから、「その東海道線の列車が新幹線のを真似て駅での停車時間を今の半分に短縮することで、東京から大阪まで今よりも四分半早く着くような不心得を企んでいるとは思えない。」
・・・。
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