2021年4月1日木曜日

逆転の大中国史 楊海英 文藝春秋

 花子が大阪の学校に合格=> 受入準備で月子が広い物件に引っ越し=> 荷物運びに関西へ=> 「いらなくなった本を売っぱらっとくれ」=> 諏訪まで持ち帰ってブッコフ=> そこで見つけた本。

これほど知的刺激を受けた本はちかごろあんまりない。歴史の本でもあるし、文化人類学の本でもある。楊海英さんは内蒙古生まれのオーノス・チョクトというモンゴル人で、南北をさかさまにしたユーラシア地図なんかを紹介している。

いちばん刺激的だったのは、中国語は漢字を唯一の共通プラットフォームとした、異なる言語が流入したものであるという指摘。じっさいに中国語では、おんなじようなことをいうのに何通りもの言い方があったりする。また「茶」という字を広東でも北京でもチャーと発音するのに、福建〜潮州ではテーという。福建のほうが古いのだけれど、テーがいかに変化すればチャーになるのか長年納得がいかなかった。でもぜんぜん違う言語が「茶」という漢字を共有してちがう音をあてはめたとしたら納得がいく。歴史は生成発展するという共産党の呪いに知らず識らず縛られていたのか。

先般来ぼちぼちとタイ語を勉強していて、ひょっとしてタイ語は古い形を温存した中国語なのではないかと夢想していた。小乗仏教徒が漢人による儒教文化への同化を避けて南方に亡命したのかもしれない。

中国語が拡大・吸収・同化の途ををたどったのであれば、英語がそうであるように簡素化は免れない。中国語は簡素化の歴史なのだろう。

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