2020年5月3日
ディカーニカ近郷夜話 ゴーゴリ 工藤精一郎訳 平凡社
ずいぶん前から長いフライトの旅には開高健のベトナム闇作品をもっていくと決めていて、その長い文を解読したり、分解して機能を考えたりする作業のあいだに長い居眠りを貪るのであった。
ちかごろは長いフライトに乗ることもないので、単なる居眠りを貪っている。
開高健には「人とこの世界」という軽くない対談集があって、そのどこかに、18歳の開高健がゴーゴリの「ディカーニカ近郊夜話」を読んでその人物描写に衝撃を受けたというようなことが書いてある。
そのディカーニカ近郷夜話を手に入れた。1965年版。さっそく読んでみると、ひとつの段落にひとつしか「。」がないような長い文の連続。じきに読むのがいやになった。同じ本に収録されている「隊長ブリバ」の文体はそうでもないのだが、ブリバというジジイが、奥さんの用意したディナーをテーブルごとひっくり返すような粗暴さで、やっぱりいやになった。斜め読みした結果、この家の男ども全滅というどうしようもないストーリーだった。
おそらく18歳の開高健はディカーニカに出会って「これや!これでいこ!」と思ったにちがいない。
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