2020年7月5日
アメリカには複数の諜報機関があって、悪名高いCIAはそのひとつなんだけど、数にすると「幾つも」どころではなく数十のロットであるという。それらが独自にそれぞれの第3セクターを持ち、それぞれにロッキードマーチンやらボーイングやらレイソンなどの軍需産業、CNNやらMSNBCなどメディアと複雑に絡み合っている。イランの革命防衛隊も中国の人民解放軍もイスラエルも似たようなものなんだけれど、かくなるビジネスモデルは欧米の発明品ではなく、1900年から1945年の半世紀のあいだの日本に原型を求めることができる
・・・というのは単なるツカミのイントロなのだが、上のツカミで説明できないのが、なんで我が輩が東亜同文書院とか、満蒙文化協会とか、西北研究所とか、興亜義塾とか、満鉄とか、そのへんの話に魅力を感じるかということだ。
満州国について述べれば、満鉄が走らせていた特急あじあ号は新幹線のぞみの祖父であるとか、いまアメリカ軍がアフガンでケシ栽培を奨励してそれを買い上げてマフィアに流して活動資金を現地調達しているとか、でもそれはアメリカ軍とかCIAのオリジナルではなくて安倍ぴょんの祖父・岸信介と盟友の里見甫(1913年に東亜同文書院入学)が描いたグランドデザインのパクリであるとか、CNNはプロパガンダ機関である満州国通信=いまの電通のパクリであるとか、だから現政権のやりかたは祖父の時代にくらべたらそのケチさにおいて象と蚤くらいの違いがある・・・なんていうテンプレもじつはあんまり関係ない。満鉄については資料・研究が多すぎて呆然とするのみだ。
強いていえば、我が輩が大学生だったころ、「(東亜同文)書院生だったらしい」という噂があった教授に学んだとか、恩師の長田夏樹先生は満鉄の子会社の西北交通に就職して、それから満蒙文化協会にヘッドハンチングされたとか、それから藤枝晃や梅棹忠夫など巨人を輩出した西北研究所に出入りしていたとか、そのあたりからその時代、その地域の体臭みたいなもんを皮膚で感じられるような気がする、ということだと思う。
ともかく、標記の本はおもしろい。あんまり面白いので、先に読みはじめた
甘粕正彦 乱心の曠野 佐野眞一 新潮社
をすっとばして、一気に読了してしまったくらいだ。もっとも佐野眞一巨匠の文体になじみにくいというのもあるけれど。読み終えるのかな?
琉球人の著者が中国人から「どうして琉球人が日本兵になるのか?」と尋ねられる。それは北方4島の人たちに対し日本人が「どうしてロシアに義理立てするのか?」と問いかけるようなものなのだろうか?
「魯迅は虹橋路校舎の講堂で講演をしたことがある。蒋介石から弾圧を受けているさなか、昭和6年のことであった。魯迅にとって、あるいはかの学生たちにとって、同文書院は同志であったのか敵であったのか。」
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