2021年4月4日日曜日

アジアを読む 張競 みすず書房

 2020年8月1日

著者は1953年の上海生まれ。きっと生まれ故郷でも上海語と北京語の二重言語で、母語の外を生きてきたのかもしれない。それにしても張さんの日本語はすばらしい。内容的には書評で、取りあげた本も硬軟取り混ぜてあって、気楽に読むことができる。

加藤徹の「京劇-政治の国の俳優群像」の書評で、京劇についてのイメージを覆された。これはぜひ読まねばならぬ。いわく、京劇は政治の影響を受けてきただけではなく、メディアとして政治を誘導・扇動したことも多く、地方芸能が成長するために権力とつるんできたのだ、と・・・ここまで書いて、やっぱりこんな硬いオタク本は読むのをやめようと思った。

佐野眞一さんの「阿片王-満州の夜と霧」も取り上げられている。「数々の貴重な証言を集めた昭和史の本として、長く歴史に名が残るであろう」と絶賛している。里見甫は上海の東亜同文書院を出ているから、上海人として著者はさらに切実に感じるのだろう。


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