2023年7月5日水曜日

ニューエクスプレスプラス ペルシア語 浜畑裕子 白水社

 3度めの登場です。

毎朝の通勤電車でトルコ語を勉強している。そろそろ2年くらいになる。その前は、同じ通勤電車でペルシア語を3年間くらいやっていた。

トルコ語は文法の比率が重い。母音調和という法則があるので、同じ意味と用法でも見た目が異なる。理屈を知らないと、なんでそうなるのかわからない。「どうやったかいな?」「なんでそうなんねん?」とブツブツ言いつつ、例文と対比表を行ったり来たりしている。だから、なかなか先に進まない。ついに10課、ちょうど真ん中へんまで来て、息切れ。バケーションが必要だ。

それで、音が優しく懐かしいペルシア語に回帰。回帰して気がついた。ペルシア語は教科書の例文をほとんど丸暗記したけれど、文法にはまるで注意を払っていなかった。音と意味をなんとか覚えている例文をおさらいし、文法解説を読む。まるで初めて読むかのように、「おお。そーだったのか!」と新鮮に驚く我輩である。

トルコ語をいちおう終わったら、つぎはロシア語をやってみたい。トルコ語を早く終わらせないと、ロシア語に行けない。大変だ。



2023年7月3日月曜日

戦争とスタンプ 全9巻 速水螺旋人 講談社

 漫画である。とても面白い。月姫に貸し出してしまったので正確に引用できないが、名言がときどき、さりげなく置いてある。

「戦争っていうのは、勘違いと、忖度と、縁故と、コネと、たまたまの偶然ばっかりなんだ」みたいな。

舞台はたまたま、いまロシアとウクライナがどんぱちやっているところ。






ウクライナ戦争の200日 小泉悠 文春新書

小泉さんはディミトリー・トレーニンの著作とか翻訳している人なので、いろんな見方を提示してくれると期待していた。でもこの本を読んだら、単なるプロパガンダ要員だった。残念。ロシア語ができるし、奥さんもロシア人みたいなので期待したのだが、いわばCIAのロシア担当分析官が日本語を話しているようなもんだ。

なんでそうなっちゃったかは知らないが、おそらくワシントンDCとモスクワしか見てないんじゃないか。たとえばイスラマバードの市場で日本人と認識されず、ほぼ犬と同じレベルの扱いを受け、しかたがないので普通のおっさんらの隣の地面に座って、おっさんらとおんなじ目線で風景を見たり、風を感じたりしたりした。そんなめっちゃ楽しい思いをしたことがないのだろう。

それでも時々いいことを言っている。ロシアは資源があるし、技術も人もいるから、引きこもって、そこそこのものはなんでも自分らでできる。だから強い、みたいな。

そう、日本は資源がない。その日本が「西側」だったり、なぜか白人国ばっかりのG7に入っていたりすることが、1980年代生まれの日本人(小泉さん)はどうして当たり前に思えるんだろう?

もうひとつ面白いと思ったのが、対談相手のドイツ人女性の話。ドイツに出稼ぎに来ているモルドバ人ていうのは、泥棒するのが当たり前みたいにモラルがない。モルドバ人はそういうもんだって、ドイツ人は思っていると。

この本の話ではないけれど、それで思い出した。今日翻訳した記事の中でこんなのがあった。EUに難民としてやってきたウクライナ人女性いわく、「ここで掃除婦なんてできません。私たちはアラブ人じゃないんですから。」

ウクライナ戦争が始まってからもう500日くらいになる。パリが燃えているらしいが、マスコミはほとんど報じない。



2023年6月27日火曜日

優柔不断術 赤瀬川原平

赤瀬川原平さんが2014年10月26日に亡くなっていたことを知った。
なんでこんな大事なことを知らなかったんだろう。それは、パキスタンのイスラマバードから帰国して、つぎの任地であるイランのテヘランに出発する準備で、あたふたしていた時期だったからだ。そうに違いない。

赤瀬川原平さんは1999年ごろ、たてつづけに重要作品を出した。「老人力」も「ライカ同盟」もそう。しかるに我輩は、1999年から2002年までマレーシアのクアラルンプールにいた。「老人力」を読んだのは2007年ごろ、「ライカ同盟」を読んだのは2020年ごろのことだ。「ライカ同盟」を読んだ頃は、まだ原平さんが死んだことを知らなかった。

この「優柔不断術」も1999年。この本は長和町の道の駅の古書コーナーで発見・購入。「老人力」「ライカ同盟」の軽いノリで読みはじめた。はじめは内容も軽いノリだったのに、読み進めるうちにどんどん深くなってきた。後半にはいると、メモしておきたいような重要な表現が出てくる。

「裏側が描けてない」

「言葉はあいまいが真実である」

「芸術方面の人は、だいたい子供的である。その証拠に、すぐ哲学になる。」

赤瀬川原平さんは、考えに考えぬいて、その結果をわかりやすい形で提示する。まるで「ぽてん。」と路上に置くみたいに。それがたいへんおもしろく見える。トマソンだ。彼が切り取ったり、提示したりするものは、あんまり面白いので吹き出してしまうこともある。でもそれは、さんざんデッサンをしたのに「裏側が描けてない」と言われたりして、さんざん蓄積された見る目が生み出すおもしろさだと思う。

原平さんは1937年の生まれなので、この本が出された1999年には62歳だったはずだ。我輩はそんな歳を過ぎたが、原平さんみたいに面白いことを、さりげなく路上に置き去りにできるかな。





2023年6月20日火曜日

手数料と物流の経済全史 玉木敏明 東洋経済

ブックオフで1000円で購入。

新品同然の本を開くと、はらりと落ちたのが「著者謹呈」の栞。謹呈したのに開かれずに古本屋直行なんて気の毒に・・・。

読みはじめて気になったこと。文体が統一されてない。特に、

のである。
となっている。
意味する。
ものである。
だろう。

が多用されているところと、そうでないところが際立っている。

上に列挙したのは、AIが生成した文章の特徴だ。「ワシが舞い降りたった」というブログで毎日せっせとロシア発の英語記事をAIで和訳して掲載している拙者だ。エディターでまっさきに修正するのが上記のAI癖。

物流の歴史なんてタイトルなので、気張ってホモサピエンスの出アフリカから書きはじめてしまったものだから、AI作文で埋めたのかな。東洋経済と共謀したのか、それとも東洋経済の編集者の目が節穴なのか。それはどうでもよろしかろう。

ヨーロッパのところになると、さすが玉木先生のご専門なので、AI文体ではない。文体は気にならなくなったが、内容の雑さが気になる。アルメニア人とセファーディックユダヤ人に言及したのはいいとして、歴史を撫でたような紹介だけで、なんでそうだったのか、それからどうなったのかというのが決定的に欠落している。面白くない。イエズス会に相当数のコンベルソ(セファーディックユダヤ人でカトリックに改宗した人たち)が流入したという仮説もいい感じだが、実証のないまま次に進んでしまう。残念だ。とても。

マイケル・ハドソン先生はイギリスが世界帝国になる上での原資はインドにあったことを明かしたが、この本にそういう知的興奮は期待できない。歴史の教科書を眺めたような眠さが読後感でありました。

ここまで書いて考えた。これは著者に謹呈された人がブッコフに持ち込んだんじゃなくて、著者その人が持ち込んだんじゃないのか。出版社と著者とブッコフの緊密なコンスピラシー。もう一つの出版ビジネスモデルてか。



2023年6月13日火曜日

建築学の教科書 彰国社

安藤忠雄さんとか藤森照信さんとか、いろんな建築に関わる人たちのエッセイ集。その二人しか知らない。エッセイと言っても、出会うとか探るとか刃向かうというテーマが与えられている。

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「昔、美しい樹の下で、ひとりの人が教師であることも知らずに、これもまた自分たちが生徒であることを知らない人びとと話しはじめた。」

これが学校の真のはじまりだと建築家ルイス・カーンはことあるごとに、ともに働く人々に語った。

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こんな本だ。おもしろかった。



2023年6月11日日曜日

ロシアの正しい楽しみ方 「勝手にロシア通信」編集部

おすすめは次の章

「ロシアの友を日本に呼ぼう!」

・・・カルムイク出身のメルゲンが日本に行きたいというので情報集めと保証取付に奔走する話。メルゲンはけっきょく日本に来られなかった、というのもパスポートを申請していなかったからというオチ。そのメルゲンをカルムイク共和国まで出かけて探すのが次の章。

「カルムイク共和国で尋ね人は探せるのか?」

ちなみに、いつかシベリア鉄道に乗りたいと願う我輩だが、おそらく5ダースくらいのお土産を持っていかんとあかんだろうな、と思う。そんなことを想像させてくれる。