2023年7月3日月曜日

ウクライナ戦争の200日 小泉悠 文春新書

小泉さんはディミトリー・トレーニンの著作とか翻訳している人なので、いろんな見方を提示してくれると期待していた。でもこの本を読んだら、単なるプロパガンダ要員だった。残念。ロシア語ができるし、奥さんもロシア人みたいなので期待したのだが、いわばCIAのロシア担当分析官が日本語を話しているようなもんだ。

なんでそうなっちゃったかは知らないが、おそらくワシントンDCとモスクワしか見てないんじゃないか。たとえばイスラマバードの市場で日本人と認識されず、ほぼ犬と同じレベルの扱いを受け、しかたがないので普通のおっさんらの隣の地面に座って、おっさんらとおんなじ目線で風景を見たり、風を感じたりしたりした。そんなめっちゃ楽しい思いをしたことがないのだろう。

それでも時々いいことを言っている。ロシアは資源があるし、技術も人もいるから、引きこもって、そこそこのものはなんでも自分らでできる。だから強い、みたいな。

そう、日本は資源がない。その日本が「西側」だったり、なぜか白人国ばっかりのG7に入っていたりすることが、1980年代生まれの日本人(小泉さん)はどうして当たり前に思えるんだろう?

もうひとつ面白いと思ったのが、対談相手のドイツ人女性の話。ドイツに出稼ぎに来ているモルドバ人ていうのは、泥棒するのが当たり前みたいにモラルがない。モルドバ人はそういうもんだって、ドイツ人は思っていると。

この本の話ではないけれど、それで思い出した。今日翻訳した記事の中でこんなのがあった。EUに難民としてやってきたウクライナ人女性いわく、「ここで掃除婦なんてできません。私たちはアラブ人じゃないんですから。」

ウクライナ戦争が始まってからもう500日くらいになる。パリが燃えているらしいが、マスコミはほとんど報じない。



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