2021年4月4日日曜日

ニューエクスプレスプラス ペルシア語 浜畑祐子 白水社

2020年12月20日

おどろいたことに、富士見町の図書館にこのニューエクスプレスプラスのシリーズがほぼ揃っている。アイスランド語とかグルジア語とかセルビア語とかタミール語とか、そんなマイナーな言語教本シリーズなのに。

そんでもってペルシア語を借りて朝夕の通勤電車のなかで本を読みはじめた。そのうちに基本動詞一覧だけコピーして、かれこれ6週間くらいそれを眺めていた。ある日の仕事場で、CADで仮想マシーンを分解しているときいきなり「ゲレフタン」と出てきた。意味も語幹もでてこないけれど、ゲレフタンという音が出てきたのだ。嬉しくて帰りの電車に乗るまでゲレフタンを憶えておいて、一覧表を見たら「ゲレフタン:取る、得る」とある。現在語根はギール。なんでこれだけ出てきたのか不思議だったのだが、簡単な形容詞一覧に「ゲレフタール:忙しい」というのがある。関連があるかどうかは知らないけれど、よく似ている音なので脳がおぼえていたのかもしれない。

こんな学習をしたのは高校古文の助動詞一覧表以来なのだが、マトリックスを丸暗記するのもアリなんだなあと思う。

学習(と自分のボケぐあい)の進行状況はそのうちに。

与作

2020年12月11日

パキスタンに住んで働いていたとき、通勤車にギターを載せていた。朝夕の通勤時に練習していたら、あるとき運転手のサルフラズ君が「ダンナ、いい曲っすね」といったのが与作。

そうか、南アジアまで与作圏だったのか。

与作の中国語版をみつけた。庄学忠さんは中華系マレーシア人。高山慕情、といっても飛騨高山ではなく、都会をはなれて高い山で愛しいハニーといっしょに暮らしたいもんだ、てな歌詞である。

https://www.youtube.com/watch?v=l8dKXKE9vgA

高山慕情

ついでながら中華による尺八バージョン

https://www.youtube.com/watch?v=huBYjDjYBNk

鍾治華

https://www.youtube.com/watch?v=27qxZdrySSc

ディスコバージョンのヘイ!ミスター・ヨサク/バラクーダ

旅ごころはリュートに乗って 星野博美 平凡社

2020年12月7日

ミッション系の学校を出たにもかかわらず「キリスト教徒でもなく、西欧中心的な考えが嫌い」という著者がリュートに惚れ込み、リュートで弾ける古楽(とっても1400年代くらい)を探しつつキリスト教世界を旅する物語。

中世のキリスト教に関する薀蓄量は半端ではない。当方はそのあたりさっぱり興味がないので引用とか翻訳部分は斜め読み。本のまんなかへんでイベリア半島のレコンキスタをあらかた終えたアルフォンソが、それまで翻訳事業(ギリシア・ローマの蔵書をアラビア語からラテン語にした)で世話になったユダヤ人たちに、改宗するか追放されるかを迫る。そしてあちこちでキリスト教徒によるユダヤ人虐殺がはじまる

・・・のあたりから著者も残虐なのがいやになってきたらしく、リュートよりアラビアのウードのほうがいいかなと考えはじめる。リュートはウードと見た目はそっくりだけれど、フレットが打ってあって、音域も高い。

そりゃそうだよね、キリスト教との残虐さは知れば知るほどいやになる・・・と思う我輩は、著者の視点がアラブ世界やユダヤ世界からキリスト教世界を眺める視点に転換するのを期待しつつ、しかしながら物語は長崎のキリシタンの殉教者列伝みたいになって一巻のおわり。せっかくの労作なのにちょっと不発っぽい。

こんなことを思い出した。1985年、ニューヨークからハドソン川を遡ったドブズフェリーという小さな町の、オグデンプレイスという通りのどんづまりの森のなかのシナゴーグに我輩は住んでいた。家主はクラシック界で高名なラマー・アルソップという音楽家。「あんまり聞かない名前だね」というと、「祖先はスペイン経由でアメリカにやってきたセファーディック・ジューなんだ」という。1986年にやはりハドソン川沿いの、ブロンクスのリバーデールという町に移り住んだ。近所に住んでいるブライアン・エルヴァスとブラスバンドで仲良くなった。青くて緑色の不思議な瞳の色をもつブライアンは「わいのオカンがいうには、エルヴァスっていう名前はスペイン経由でアメリカにきたセファーディック・ジューらしいんだ」という。

彼らの祖先こそ、アルフォンソに追放された人たちなのだった。

聖母マリア信仰の逸話がながながと紹介されているところがある。病気とか体の欠損とかをマリアが治したとかあれこれ。そのなかで、巡礼の途中で姦通をした男が夢のお告げで罪の意識に苛まれ、ついに自分のちんちんを切り落とし、それがもとで道半ばで死んでしまった、それをマリアが生き返らせたというのだが、さすがに切り落とされたちんちんは再生できなかったという。これは悲惨なのか笑うべきなのかわからない。

イランの西のほうにマシュハドという宗教都市があって、巨大なモスクがいくつもあつまっていて、門前市がそのまんま街になっているようなところ。イマームなんたらの遺骸が重厚かつきらびやかなフェンスのなかに安置されている。体の不自由な人や老人や病人がそのフェンスをなでたり接吻したりしている。ヴァヒッドくんによると、イマームは何百年か前に死んだのだけれど、いまだに病気や体の不自由なところを治してくれると信じられているのだという。広場では700年前に殺されたフセインを悼む詠歌が流れていて、人々が真剣に聞き入ったり慟哭している。

シーアはそういう世俗的な要素を許容するおもしろさがある。狭量なスンニのワハーブなんかそんなんは許さない。ワハーブはなんでもかんでも異端にして殺しまくったカトリークに似ていて、寛容と共存というイスラムのイメージにそぐわない。

それにしても中世キリスト教の歌の翻訳を見るにつけ、「死んだら救われる!」という人間の情念はすさまじいパワーになるのだなあと思うy。日本の浄土真宗や浄土宗のような念仏信仰も、一向一揆みたいなめちゃめちゃなパワーを生みだしたことがあるの。死んだら天国(とか浄土)に行けるのだから、いっそ死んでやれ!という発想は、人間の根源にある何ものかとレゾナンスするのだろうな。枝雀さんは落語で「念仏はいざというとき日本人の魂の奥底から湧きでてくる」なんちゅうて言ってたけど、おそらくそれは万国共通なのだ。

オーストラリアの軍隊に山下ルールは適用されるか?

2020年12月6日

オーストラリアの軍隊がアフガンの一般人を虐殺した件。大東亜戦争で活躍した「マレーの虎」山下奉文が東京裁判で処刑されたのは、部下の戦争犯罪を追及されたから。「司令官は部下に命令した・しないにかかわらず、犯罪行為を知っていた・知らなかったにかかわらず有罪」というのが戦争法の世界で山下ルール(yamashita precedent)として確立された最初の例。

これをオーストラリア軍に適用するとたいへんなスキャンダルになると言われる。

鉄鉱石と石炭は生産するけれど、ほとんどを中国に買ってもらっていて、自分とこでは自動車もつくれないオーストラリア。いいブドウとワインはできるけれど、主要市場は中国というオーストラリア。中国外務省の報道官が絵をSNSに載せたのを首相が非難するオーストラリア。急所を握られている相手に喧嘩を売るのは白人優越主義のゆえか?ハンチントンの「文明の衝突」は形を変えて、白人優越主義文明と有色人種文明の衝突になるのかもしれない

いっぽう日本メディアは中国のあれこれを取り上げて反中感情を煽る。中国は日本の10倍くらいの人口があって、たいへんな競争率をくぐり抜けた優秀や人たちを政府がリクルートする。かたや汚職・コネクション・ネポティズムが浸透し、目前の利益で動かされる人が増えた日本では、有望で有能な若い国家公務員の辞職が増えている。日本の腐敗汚職を矯正して、競争力を回復させるために中国を活用するというのが健全な方向ではないかと思うのだ。

スコット・ホートンのポッドキャスト

 2020年12月2日

http://feeds2.feedburner.com/Scotthortonshow

11/27/20 Frank Ledwidge on Losing the War in Afghanistan 1:10:41 2020/11/30

ゲストはフランク・レドウィッジ - 元イギリス諜報員で数千人の退役軍人と対話したという。オーストラリア軍がアフガンでおこなった虐殺のことから始まり、ふたりがアフガンその他の戦争についていかに無駄でアホなことが行われているかを語っている。

レドウィッジさんたらブリティッシュアクセントなので慣れるまでしばらく時間がかかるがな。もういっかい聞いたらよく理解できるだろうな。

レッドウィッジさんはアフガンとかリビアの経験があるらしい。リビアはソマリアとかイエメンとかマリとか、ここんとこキナ臭い地域への(もちろんアメリカ製)武器の供給基地となっていた。それはオバマ&ヒラリーのコンビがカダフィさんを殺した2011年以来のこと。2012年にクリス・スティーブンス大使が焼き殺されたとき、それが武器供給業務がらみだったと言われていた。軍人の話はとても興味深い。

魯迅集 世界文学全集 筑摩書房

 2020年11月28日

魯迅が「酒楼にて」で注文したつまみは茴香豆、凍肉、油豆腐、青魚乾だった

 - 富士見町の図書館。めったに行かない全集ものの棚の前で、ずっと気になっていたことを思い出した我が輩であった。


Has China Won? Will There Be War?  Kishore Mahbubani

 2020年11月11日

ポッドキャストにマブバーニさんが出ていた。おだやかな話しかたでまっとうなことを言っているので、彼の本を読むにした。

https://feeds.captivate.fm/dumbrill/

キショア・マブバーニさんはインド系シンガポール人で、国連大使とか政府高官を務めた人。シンガポール建国の父といわれる李光耀とかから直接学んだという。そのひとつが、シンガポールみたいな小国が生き残るために必須だったこととして、「希望的観測ではなくて事実をありのままに観察すること」だという。

「アメリカは自由の国といいながらそれと同じくらい大切な平等がないがしろにされ、金持ちが寡頭支配する社会的流動性のない硬直した国になった。中国は共産党一党支配の国だけれど、メリトクラシーにより有能な官僚がコントロールする社会的流動性の高い国になった。」

「アメリカの政治は各州に巧妙に配置された軍需工場が生む雇用のせいで州選出議員の誰も戦争に反対できなくなっており、シンクタンクの研究者も勇ましいことを言えば言うほど軍需産業に栄転できる道が開ける。軍隊の1/30の予算しかない外務省は無力化され、大使の6割はメジャードナーか大統領のお友達が任命される。」

「911で3000人が死んだアメリカは報復のためイラクとアフガンで戦争を起こした。オバマ政権最後の1年間だけで7カ国に6000発の爆弾を落とし、被害者の大多数は民間人だった。もし中国が民主主義の国になって、アヘン戦争の報復をはじめたらどうなるのか。それを考えると、習近平がいかに冷静な政治家かを理解できる。」

これぞアドバイザーの鏡という話の運びかた。メインストリームメディアの報道や支配的な見方と反対のことを述べるときは、かならずデータを提示する。すばらしい。

アマゾンで何千円もする本だった。オーディブルの1ヶ月体験だと音声本を1冊もらえるというので、それで合法的にタダで入手した。ただしオーディブルはiOSのバージョン13以上じゃないとインストールできない.

読み手はアーロン・アバノさん。聴きやすい英語だけれど、中国の人名とか地名の拼音をアメリカ英語読みしているので、知っていないとわけがわからなくなる。たとえば習近平を「じーじんぴん」と読んでいる。漢字の拼音を知らない人は紙か電子本で読んだほうがいいかもしれない。