2023年2月12日日曜日

耳鼻削ぎの日本史 清水克之 洋泉社歴史新書

 前に本ブログに書いた、同じ著者による「室町は今日もハードボイルド」がたいそう面白かった。

https://tamapiri.blogspot.com/2022/08/blog-post.html

おなじように面白いのを期待したら、たいそうエグい話に始まり、エグい話で終わった。筆者としては同じスタンスなのだろうが、高野秀行さんみたいな人との対談形式なんかで、適度に薄められたほうが読みやすいのかもしれない。

ではなんでそんなエグい話を読み進めたかというと、何箇所か紹介されていた「耳塚・鼻塚」のうち二ヶ所が近所にあったからだ。

塩尻市大門三番町の耳塚

松本市寿豊丘の耳塚

さらに、Googleマップ様では、塩尻市北小野2704という住所にも耳塚があるとな。ちなみに本書では、前述2箇所は1548年の桔梗が原合戦の戦死者を祀ったものとされているが、考古学的に調査されたことがなく、近在住民にとっては耳が良くなるという土俗信仰の対象であると紹介されている。

しかし、我輩は思う。もし日本が近代化されず、長野県や岐阜県に道路や鉄道が通じず、山々を穿つトンネルがなく、山間の共同体がそれぞれ隔絶されたままだったら、今のアフガンみたいにタリバン的な男たちが跋扈して、耳削ぎ鼻削ぎが普通に行われていたに違いない。本書にはアフガニスタンの鼻削ぎも紹介されていて、それはちょっと違う文脈じゃないか的な記述だ。我輩は、まったく同じ文脈だと思う。


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