2022年8月7日日曜日

辺境の怪書、歴史の驚書、ハーボイルド読書合戦 高野秀行x清水克之 集英社

 これもたいそう面白かったので、ほぼ一気読み。

1. イブン・バトゥータの大旅行記が取り上げられている。東洋文庫で全8巻。ぜんぶ揃えたら3万円仕事だ。でも欲しくなる。我が輩は長い時間をかけて集めた同じく東洋文庫のモンゴル帝国史を、手に入れたことに満足したせいか、まだ読破していない。東洋文庫は隠居するまで読むものではなく、置いとくもんだという意識もないとは言えない。でもとりあえず、イブン・バトゥータをあちこちで探してみるか。

2. ピダハン、というのはアマゾンの少数民族で、それを取り上げた本。彼ら彼女らをキリスト教に折伏しようとして入植した著者は、言語学者にして文化人類学者にして聖書翻訳者。ピダハン語には数がない。抽象化や一般化をしない。小さなリンゴと大きなリンゴは、それぞれ違うものである。一般的なリンゴや、果物という抽象的概念がない。著者がイエスについて語ると、ピダハンは「お前はそいつに会ったことがあるのか?」著者は返答につまる。著者がキリスト教入信の動機として、近親者の自殺のことを語ると、ピダハンは「自分を殺すなんて、なんて馬鹿なんだ」とおおいに笑う。そうしているうちに、著者は逆折伏されて無神論者になってしまったとのこと。読まなくてもいいかなと思うけれど、とても面白そうだ。

3. 町田康のギケイキが取り上げられている。町田康の「パンク侍切られて候」は映画もよかったし、本もよかった。さっそく注文した。

標記の本の注釈はかなりぞんざいだけれど、なくてもいいのであまり気にならない。

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