2026年10月26日月曜日

マイケル・ハドソン:わしの反応 ― 今年のノーベル経済学賞、またしてもひどい話や

https://michael-hudson.com/2026/10/my-reaction-to-the-newest-nobel-economics-prize-travesty/

マイケル著 2026年10月14日(水)

2026年の受賞は、「経済学は債権者の力を見落とした理論ばっかり褒めとる」っちゅう五十年来のわしの批判をまた蒸し返すことになったな。

わしは1970年代に、自分のことを経済学者て呼ぶんをやめたんや。わしが話しとったんは主に債務、国際収支、通貨帝国主義、それに歴史やった。それが大学で教えとる経済学の中身とは全然ちゃうて、はっきり分かってきたからな。

ポール・サミュエルソンがノーベル賞もろたとき、わしはカトリック系の雑誌『コモンウィール』に、この賞はもう出すんやめえっちゅう記事を書いたんや。サミュエルソンは、自由貿易したらどの国も得をして、労働と資本の比率まで平等になっていくて、現実離れしたことを言い張っとった。あの賞を出す側が右派なんは見え見えやったし、スウェーデンかて、一握りの上層に富が集中する欧州一不平等な経済になりかけとったんや。

『コモンウィール』に書いたんはな、わしが解放の神学の運動の一員やったからや。あれは「ええ教皇」二人が後押ししとった運動やで(その後、反動的な教皇二人が出てきて潰しにかかったけどな)。わしの考えを支援して載せてくれたんはカトリックだけやった。最初の著書『援助の神話』も出してくれたんや。この本では、援助っちゅうもんがアメリカ帝国主義の搾取の梃子やて示したったんやで。

ほんで今度や、2026年のノーベル賞が正統派の経済学者二人に出たで。わしは主流派の経済学雑誌はもう読んでへんし、経済学の学会にも半世紀以上行っとらん。せやから新しい受賞者二人のことで知っとるんは、ウォール・ストリート・ジャーナルとニューヨーク・タイムズに書いてあることだけや。

一番ひどいんはスタンフォード大学とフーバー研究所のロバート・ホールやな。1985年にアルヴィン・ラバシュカと『フラット・タックス』を共著で書いとって、金持ちが労働者より高い税金を払うたらあかんて言い張っとる。ここで言う金持ちっちゅうんは、主に金融セクターのマネーマネージャー、不在地主、独占企業みたいな、レントier所得で財産こしらえた連中のことや。これはあの頃のレーガノミクスの大きなテーマやった。ホールとラバシュカは、そのほうが「歪みが少ない」て主張したんや、とWSJの書評には書いてあったで。

ホールはNBER(全米経済研究所)に三十年おった。NBERの教義は、景気後退なんてもんは「市場の調整」とか「自動安定化装置」のおかげで勝手に治るっちゅうもんや。ホールは、共同受賞のマイケル・ウッドフォードと同じで、ケインズ派マクロ経済学の「消費関数」(所得のうち消費に回る割合)について書いとるんやけど、そこで「債務」っちゅう禁断の話題には一言も触れへんのや。債務の返済負担は、第二次大戦後の景気回復のたびに、ずーっと増え続けてきとる。ほんで債務デフレのせいで、その分だけ消費が減っとるんやで。

ウッドフォードはミルトン・フリードマンのケインズ批判の側につきよった。消費と所得の比率(マクロ経済学者の言うC/Y)は安定した関数やのうて、予想される所得を映しとるだけや、て言うたんや。けど、そこには債務の予想なんてもんは入っとらんのや。この批判の狙いは、不況のときの減税は役に立たへんて言うことやった。減税でもろた人は、長期の消費に響くて思わな、よけい使わへんかもしれんからな。

ウッドフォードの1978年の論文は、ほぼ五十年も前に書かれたもんや。その頃は債務がこれにどう影響するかなんて議論は、(わしの書いたもん以外には)ほとんどあらへんかった。しかもわしの書いたもんは、お行儀ええ席では相手にされんかったんやで。2020年、コロナの危機が一番ひどかったときに、トランプ大統領が2,000ドルの小切手をアメリカ人に配ったやろ。あのとき大半のアメリカ人は、そのカネをクレジットカードやらの債務の返済に回したんや。消費を増やしたんちゃうで。せやから統計的に見たら、(トランプの小切手を所得に数えたら)C/Y比率は実際には下がったはずなんや。

けどこんなん全部、昔とは別世界の話や。ウッドフォードはニューヨーク・タイムズに、オバマ大統領の「安定化政策」のZIRP(ゼロ金利政策)が「より良い安定化に貢献した」て言うたらしい。ZIRPっちゅうんは、ジャンク住宅ローンの崩壊とデリバティブの博打で転んだ銀行セクターを救済したことやで。

けど、あれが何をもたらしたかは、みんな知っとるやろ。2008年以降に増えた富は、ほとんど全部が上位10%、とくに上位1%、その中でもとりわけ上位0.1%に行ったんや。FIRE(金融・保険・不動産)セクターへの減税や税の免除がずっと続いたおかげやな。その受益者は、いまや経済のほかの部分の上に君臨しとる。連中の富は、債務の返済を求める権利と、ますます膨らむ地代を求める権利でできとるんや。

ノーベル委員会の言う「安定化」っちゅうんは、つまり、どんどん進む脱工業化と緊縮財政にぴったり合うとるわけやな。

せやからわしにできるんは、このえせノーベル経済学賞はもうやめえっちゅう提言を繰り返すことだけや。この賞の役目は、一組の目隠しを世間に広めることなんや。今の借金まみれの経済には、NBER流の「自動安定化装置」なんかあらへん。あるんは、債務デフレがもたらす指数関数的な不安定化が、ずーっと続いとるっちゅうことや。西側の経済は、産業資本主義の古典的な力学を捨てて、略奪的で分断を生む金融資本主義の力学に取って代わられとる。その事実を世間に見せへんようにするための目隠しなんや。

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