2024年8月12日月曜日

千曲川ワインバレー 新しい農業への視点 玉村豊男 集英社新書

良書である。山本博さんの「日本ワインをつくる人々」でよく理解できなかったところなどを、この本で説得力豊かに展開され、理解できるようになった。

例えば、欧州で主流のワインぶどう種を、なぜ日本で栽培すべきなのか、という点など。

玉村さんの書く本は、彼がワイナリーを始める前から読んでいた。ワイン作りを始めてからも、時々読んでいる。はじめは留学帰りのおフランスかぶれと思って読んでいたし、実際にそういう面もあったと思う。しかし日本でワイン農園を始めたあたりから、日本人としての見方が確固たるものになったようだ。

グルジアで農家の土間に甕が埋められ、その中でブドウが熟成しているのを見て、ワインはブドウの漬物だったと玉村さんは気づく。

原産地がどこであれ、ブドウは植えられたテロワールに順応して育ち、そこで育まれた食事と調和する。それはフランスであってもいいし、グルジアでも長野県でもいい。

11年前の本。ほどよい時間が経った。自分の感動を伝え、人を感動させる本の内容が、まったりとした時間のなかで展開している。それを眼前にするのは素晴らしい。


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