めっちゃためになった。我輩が受験生のときに、こんな本を出して欲しかった。
中国の歴史が、気候変動やら貨幣やらモノ(コメとか塩とかシルク)の流れに基づいて解釈される。目から鱗が落ちるというやつだ。
こんなふうに、高校生でも中国の歴史がスパッとわかる:
秦漢時代に「中華」という概念ができあがった。ただし中華はシルクロードの東端という位置づけで、世界史から独立していたわけではない。
五胡十六国から南北朝は寒冷化の影響を受けた戦乱の時代。
隋唐は異民族が中華を再統一した時代。
唐宋時代に温暖化で生産力が激増した。
元のとき、中華はモンゴル世界帝国に組み込まれ、世界に開かれた。
明の時代、官は引きこもりになったが、民は活発に活動した。この頃から南北格差より東西格差が大きくなった。
清の時代、明のシステムに乗っかりつつ開放化した。
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考察1。ロシア制裁というのは官の一方的な施策である。G7たらゆうて政府自民党と公明党がアメリカの言いなりになって、好き勝手放題している。一方で、天然ガスや食糧(穀物とか漁業)を真剣に考える民間は、ロシア制裁なんかないほうがいい。軍需なんていうアップダウンの激しい業界に参入したくないし。この官民の温度差、というより隔絶は、明の時代にそっくりだ。明の時代、官は鎖国・引きこもりが国是だった。いっぽう民間は密貿易とかやりたい放題。この頃から、人民はお上の施策を「それはさておき」と、対策を講じつつビジネスに励むという伝統ができた。税金なんて、ごまかしたもの勝ち。役人なんて賄賂でなんとでもなる。有能なやつは兵隊にならない・・・とか。官民が断絶すると、国の将来に暗雲がたちこめる。これ歴史の教訓。
考察2。一路一帯というのは、西方と直結することで中国国内の東西格差をなんとかしようというプロジェクトだ。このルートの先には穀倉とエネルギー地帯が広がっている。枝分かれして海洋にもアクセスできる。ロシアと仲良くしておいたら、枝分かれで北極海にも行ける。アメリカによる対露制裁と、アメリカにまったく賛同しないBRICS・・という昨今の国際情勢が、たまたま一路一帯に合致したんだな。