2021年7月4日日曜日

天国に行きたかったヒットマン

ヨナス・ヨナソンによるスエーデンの娯楽小説。この人は「窓から逃げた100歳老人」という娯楽小説がそこそこ売れたので、続編じゃなくて違う趣向で書いたのがこの小説。

ネタバレになるのであらすじはおいとくとして、ディテールがおもしろい。

「くそったれボルボに乗ってくそったれの家に帰ってくそったれイケアのソファでくつろいでやがれ、くそったれ」というような(趣意)罵倒がでてくる。ダイナマイトは出てこないのだが。

さらに、こんな歴史が紹介されている。

< スウェーデンはかつて、福音ルター派の国教会が国を統治していた時代があった。ほかの宗派を信じることは禁止、なにも信じないことも禁止、それと正しい神を誤った方法で信じることも禁止されていた。>

へえ?というような歴史じゃないか。欧州というのは狭いところにいろんな言語のいろんな民族が住んでいて、それがほとんど地続きなので、ちょっと油断して背中を見せると後ろからぷすりと刺されるような歴史を繰り返してきたのだろう。そんななかで競争してきた人たちが科学技術を手に入れ、世界征服をした。いかにもモダンな顔をしているけれど、それは上に述べたような歴史があって、30年戦争みたいな流血をさんざんやって、一神教の無意味さに気づいて近代がはじまった。

この「地続き」という恐怖の感覚をぜひ知りたい、と思うのだ。だからいろんな小説を読むのがおもしろい。

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