「建築とは期待はずれである」「建築とは間違いだらけである」「建築とはテキトーである」など、前半は常識とか思い込みを覆す内容が続く。おもしろい。後半は建築の希望的側面について書いてある。繊維入りコンクリートの可能性とか。これも楽しい。集合材の話がないのは、それが使われた大規模な建物がまだないからかもしれない。
そこそこ生きていると、建築士とか、構造計算をやってきた人とか、いろんな知り合いができる。それぞれの専門がこんなふうだったのかというのを知ったのは、この本を読んでからだ。
読み終わってから、マリオ・サルバドリ先生の「なんで建物は崩壊するのか」を思い出した。我輩が読んだのは英語の本。平易な英語で、素人にもわかりやすく書いてあった。そっちもおもしろい。「建物が壊れるわけ 構造の崩壊」という邦題で日本語訳も出ている。いま簡単に手に入るかどうかわからない。
ついでながら、サルバドリ先生は「なんで建物はたっているのか」というタイトルの姉妹本もある。こっちも買って読んだような気がするが、とりあえず見つからない。
サルバドリ先生の本は、マンハッタンの建築専門の本屋さんで見つけた。たしかマディソン街のミッドタウンにあったような気がする。ニューヨークはそういう面で、いいところもあったなあ、と懐かしく思う。