2025年5月6日火曜日

天路の旅人(下) 沢木耕太郎 新潮文庫

連休最終日は雨だったので、下巻まで一気読み。たいへん面白かった。いわば西川一三さんの「秘境西域7年の潜行」のダイジェスト版+オマケ付き。それなら「秘境西域7年の潜行」を読めばええやん、と言われるかも知れないが、読むのは大変だよ。どうしても読むというなら、この本をガイドブックがわりにして、「秘境西域7年の潜行」を読むのを薦めます。

さらに、プラスアルファのところがでっかいオマケ。そのオマケの部分が、木村肥佐生ファンにとっても必読だ。木村さんの本で書かれていなかった、インドで官憲に自首してから帰国、そして帰国後のことが書かれている。さらに、これまでどこにも書かれなかった、西川さんと木村さんの関わりみたいなところが出てくる。

ところで、西川さんと木村さんは興亜義塾の同期生だと思っていたら、違った。木村さんは西川さんより年下だけれど、1期先輩になる。木村さんと西川さんが一緒に写っている写真をどっかで見たと思っていたので、勘違いしていた我輩であった。

 河口慧海の「チベット旅行記」もさることながら、西川一三さんの「秘境西域7年の潜行」がなんでそんなに読みにくいかというと、旅した人が思い出しながら書いているから。旅したことのある人にとって、その場所は既知になる。既知の人にとって、A地点はどうだった。A地点からB地点に移動した。B地点はこうだった。その場所が未知であるほとんどの読者にとって、書かれてあることの意味がよくわからない。それを読み続けるのは苦痛でしかない。

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