2023年5月3日水曜日

スペインのユダヤ人 関哲之 山川出版社

トレドの翻訳機関での翻訳のやりかた:ユダヤ人やコンベルソ(キリスト教に改宗したユダヤ人)がアラビア語の原典を口頭でローカルのスペイン語に訳す。それを聞いてスペイン人がラテン語で筆記する。

そんな詳細や蘊蓄や情報がてんこ盛り。分厚い本ではぜんぜんないけれど、情報量が多い。スペインの歴史が、ユダヤ人とのインタラクションそのものだったことがわかる。ユダヤ人はマイノリティーとして単なるトッピングだったのではない。スペイン人とユダヤ人は麺とつゆのように絡みながら歴史を作ってきた。ユダヤ人がなければスペインはただの麺。味も何もない。しかしそれはスペインだけではなく、ベルギーも、オランダも、イギリスも、ポルトガルも、そしてブラジル経由でユダヤ人を受け入れたニューヨークもそうだった。

ユダヤ人の情報・貿易ネットワークがなければ、ヨーロッパもアメリカもただの麺だったに違いない。


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