10月最後の日曜日に原村の清水閣下の豪邸を訪問したら、隣の豪邸でなんかイベントをやっていた。パステル画の展覧会と、432ヘルツのピアノでショパンを弾くのだとか。
なんだかわからんけれどハイソな雰囲気っぽいのでその話を聞かなかったふりをしていたのだけれど、閣下が「のぞいてみませんか」というのでしかたなくご一緒した。
やっぱりハイソな人々が集っていた。我輩はなんで432ヘルツなのか興味があったので、ピアノをちょっとだけ触らせてもらった。その響きがなかなかよろしかった。
ふつう440ヘルツを432ヘルツまで落とすには、たんに緩めればいいというのではなく、弦を張り替えなければならないのだそうな。そこまでしてチューニングしたのは、「432」というのに半端ない思い入れをもっている人たちがいるということなのだ。
そのピアノの音色はとても落ち着いている。たとえばニューヨークでピッツアとステーキとクリームチーズばっかり食べていた日本人が、納豆汁と糠漬けと玄米飯とサンマを食べたときのように、しっくりくるのだ。
かといって、いままでたんにうるさい音楽だとおもっていたクラシックを432ヘルツで聞きなおそうとも思わない。我輩は(広義の)アラビア音楽という、もっとしっくりくる音楽を見つけたのだから。